雨(転載)

雨の日とは憂鬱なものである。まず傘をさすのは面倒である。それに雨は水である。人間が生きるのに水が必要なのは極めて不条理なので私は水が嫌いなのだ。

そんな雨の日に私は知らない街のバスに揺られている。このバスはどこへ行くのか。そんなことは知った上で乗ってはいるが、地図上の場所とこのバスの行先はきっと違うだろう。

窓には雨粒がついている。彼らはきっと価値のあるものである。きっと、自然の自然として生まれてきたのが雨粒なのではないか。そんな事を思っていながら窓の外にも注目を向ける。雨が強い。さらに憂鬱になった。このバスは渋滞にハマっている。